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ストーリー
映画監督を夢見て地方から上京して来た18歳の少年。新聞配達で
学費を稼ぎながら映画専門学校に通い出すが、つまらない授業と
過酷な労働の日々、見えない未来への不安と孤独からくる妄想。
やがて昨日までの青空が灰色の空に変わってゆき、真夜中の閑散
とした街の片隅で少年は自らの内なる怒りを爆発させる。そして
朝日が昇る静まり返った日常の中、映画少年は座り込んだ。

 

   
 
   
解説
新聞奨学生として肉体労働をしながら、映像のゼミに通っている18歳
の少年が様々な葛藤に 苦しみ、自ら袋小路にはまってゆく様をスピ
ーディに活写し、1986年度日本映像フェスティ バル優秀賞を受賞。
当時のPFF審査評価が真っ二つに分かれ、審査員の一人が主催体
制に異議 申し立てたことで問題になった。新聞配達の過酷さか?
映画少年の夢を貫く過酷さか? そのどちらに比重ポイントを置くで
なく、ただ淡々と少年の蹉跌までの心象風景を独特の 映像表現で描
く。主役の少年を演じた井山和彦氏も実際、映画監督に憧れて長崎
から上京し 新聞奨学生として都内の映像学校に通っていた。彼は高
校時代に8ミリ映画を製作した経験が あり、知人を介して知り合った
ばかりで、ただの日雇い肉体労働者で同い年の北田直俊が無謀
にも手探りで映画を撮ろうとしている事を知り、助言する経緯におい
て本作品に携わった。 当時の北田監督は熱意だけで映画製作に殆
ど無知だった故、井山氏の映像学校で培った知識 と二人三脚の現
場がなければ完成しなかった作品である。彼はその後、映画の編集
室に就職し 北野武監督作品『その男、凶暴につき』(1989)などの編
集助手に携わったがその後、退社、映画業界から遠ざかる。

 

   
     
制作・就職率0%集団
監督・脚本・撮影・録音・編集・美術・小道具・照明
北田直俊
協力
中村正志・原 昌郎・沼田昭広
正木一臣・永江 恵・西原 昇
主演・原案
井山和彦

 

 

 

コメント

  

現実の切りとり方に才能を感じた。
いい目を持っている人だ。映画の中での展開の
処理の仕方、常に内省があるところが素晴らしい。
次回作も次々回作も見たい!
大房 潤一
(アート&教育関連映像&Webディレクター、実験映画上映‘ハイロ’主催)
 

 

作者のこの作品を撮らずにはおれないという情熱と冷静な技巧が
たが いに高め合って素晴らしい映像を生み出している。
特に目を見張ったのは その編集の冴えだ。イメージとイメージが
響きあって、希に見る映画 的 リズムを 醸し出している。
それは勿論、個々のカットが素晴らしくなけ れば不可能だが それを
編集することによって、新たな次元に高めること 、
すなわち「映画にする」 こと、これは全くこの作者の才能の贈物 だ。
こ の才能を持った人間は 驚くほど少ない。
平林 正騎(映画批評家)

 

 
君のどのような映画体験がこのような傲慢かつ雑駁な
FILM作りを許すのか?
脚本に用意された言葉、連ねられる画面、
無神経に鳴り響く既成曲・・・
映画という不透明な希望に対する謙虚な恐れと
何よりもまず、君自身に対する真摯な対決を突き止めよ!
ラストで主人公が溜息をついて手にした新聞をボソリと投げ捨て
むなしい思いを抱いてエレベーターに乗り込む場面が実に見事でした。
このシーンがあるかないかで作品全体の評価が一変するような
重要な シーンを正しく演出しきっています。最初の作品でこれほどのものを
作り出せたということは驚くべきことです。これは、どの部分を 失っても、
全体が失われてしまうようなそんな作品だと思います。
大久保 賢一(映画評論家) 竹田 京子(映像プロデューサー)
 
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